COLUMN / ご家族の視点
親を施設に入れたいのに、保証人になれない——子世代の現実と、それでも入居につなげる道
本記事は、損害保険会社で支払査定・リスク審査に従事した者の監修のもと作成しています。
「親をそろそろ施設に、と思って動き始めたら、入居申込書に『身元保証人』の欄があった。でも、自分にはそれが引き受けられない」——そう立ち止まってしまう方は、決して少数派ではありません。遠くに住んでいる、きょうだいがいない、自分自身も年金暮らしで収入に不安がある、あるいは親と長く疎遠だった。事情はさまざまです。
結論から言えば、あなたが保証人になれないことだけを理由に、親御さんの入居の道が閉ざされるわけではありません。大切なのは、施設が「保証人」に何を期待しているのかを分解し、その一つひとつを別の手段で補えると知ることです。本記事では、その考え方と、いま使える制度を、公的な資料にもとづいて解説します。
なぜ今、「保証人になれない子世代」が増えているのか?
これは個人の努力不足の問題ではなく、日本の世帯構造が変わったことによる、いわば必然です。「家族が支える」という前提そのものが、静かに崩れつつあります。
子や配偶者という「当然のように保証人になる人」が、そもそも存在しない高齢者が増えています。さらに、少子化できょうだいの数は減り、親を看る子世代自身が60代・70代に差しかかる「老老介護」も珍しくありません。「保証人になれない」は特殊な事情ではなく、これからの標準に近づいていく——この前提に立つことが、解決の出発点になります。
そもそも、施設はなぜ「保証人」を求めるのか?
「保証人=親身に世話をしてくれる身内」というイメージだけが先行しがちですが、施設が求める背景には、性質の異なる3つの不安があります。従来はこれを一人の身内が兼任してきました。
お金の不安
月額利用料が支払われなくなったとき、誰が負担するのか。
連絡・引受の不安
入院・急変・手術の同意など、緊急時に誰が判断・手続きを担うのか。
退居時の不安
契約終了時の明け渡し・残置物・精算を誰が行うのか。
裏を返せば、この3つを別々の手段で補えれば、身内が保証人にならなくても、施設の不安は解消に向かいます。
「保証人になれない」には、どんなケースがあるのか?
ひとくちに「なれない」と言っても状況はさまざまです。自分がどのケースに近いかで、次に相談すべき先が変わります。
| あなたのケース | まず相談したい先の例 |
|---|---|
| 引き受ける身内がいない | 地域包括支援センター/利用料の保証・身元保証サービス |
| 疎遠で頼めない | 地域包括支援センター/検討中の施設の相談員 |
| 遠方で難しい | 身元保証にあたるサービス/近隣の支援先 |
| 経済的に引き受けられない | 利用料の保証サービス/自治体の福祉窓口 |
| 自分自身が高齢・病気 | 成年後見・任意後見制度/地域包括支援センター |
どのケースでも、解決の方向は同じです。「保証人という一人格」を無理に用意するのではなく、お金の役割と、連絡・引受の役割を、それぞれ担える仕組みに置き換えることです。
保証人がいなくても、入居につなげる方法は?
近年は、保証人に代わる選択肢が整いつつあります。役割ごとに整理します。
| 手段 | 主に補う役割 |
|---|---|
| 利用料の保証サービス | お金(月額利用料の未払い) |
| 身元保証サービス | お金以外(入院時対応・緊急連絡など) |
| 成年後見・任意後見制度 | 判断能力低下に備える契約・財産管理 |
| 地域包括支援センター等 | 状況に応じた支援先の紹介(まず動くならここが起点) |
これらは「どれか一つですべてを満たす」ものではありません。お金の不安は利用料の保証で、連絡・引受の不安は身元保証にあたる機能で——役割ごとに担い手を分けて組み合わせるのが現実的です。支払いそのものが難しい場合は、生活保護など公的支援に着地する道もあります。
「保証人がいないだけで断らない」——制度も後押ししている
保証人の有無だけで判断しない、という考え方は、家族側の願望にとどまりません。医療の場面では、厚生労働省が2018年(平成30年)の通知で、身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関が入院を拒むことは、医師法の応招義務に照らして適切ではないという考え方を示しています[2]。さらに、身寄りがない方への支援を具体的にまとめたガイドラインも公表されています[3]。
お金の面でも制度は変わりました。2020年施行の改正民法では、個人が根保証人となる場合に極度額(上限額)の定めが必須となり[4]、保証人に青天井の負担を求めることはできなくなっています。「保証人になったら、いくら請求されるか分からない」という漠然とした恐怖には、法的にも一定の歯止めがかけられているのです。
まとめ:あなたが背負い込まなくてよい
親を思う気持ちと、保証人になれないという現実の板挟みは、とてもつらいものです。けれど、それはあなた一人が抱え込むべき問題ではありません。施設が抱く「お金」と「お金以外」の不安を、役割ごとに補う手段は、すでに用意されています。まずは地域包括支援センターや、検討している施設に、遠慮なく事情を打ち明けてみてください。
私たちLAST SOLUTIONSは、入居者様の月額利用料の保証を通じて、施設様が「保証人がいない」を理由に入居を見送らずに済む体制づくりをお手伝いしています。断るためではなく、引き受けるための仕組みを——それが、これからの当たり前になるべきだと考えています。
保証人・受け入れ体制について、ご相談を承っています
施設運営者様はもちろん、ご家族からのご相談も承っています。「まず話を聞いてみたい」という段階でも構いません。資料のご請求・オンラインでのご説明も承っています。
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出典
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2024年推計)」ならびに生涯未婚率(50歳時未婚割合)に関する統計
- 厚生労働省 医政局医事課長通知「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関が入院等を拒むこと等について」(医政医発0427第2号・平成30年4月27日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000516183.pdf - 厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/miyorinonaihitohenotaiou.html - 民法第465条の2(個人根保証契約の極度額)/2020年4月施行 改正民法
