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COLUMN / 未収・滞納への備え

老人ホームで利用料が未払いになったら|施設の対応と、起きる前の備え

監修

本記事は、損害保険会社で支払査定・リスク審査に従事した者の監修のもと作成しています。

「半年に一人でも、払わない人は払わない」——住宅型有料老人ホームの現場でよく聞く言葉です。月額利用料の未払いは、担当者の努力不足で起きるのではなく、入居者の高齢化・家族の不在といった構造から生まれます。だからこそ、起きてから慌てるのではなく、仕組みで備えておくことが施設経営を守ります。

結論から言えば、未払いは「起きてから回収する」より「起きる前に備える」ほうが、施設の負担ははるかに軽くなります。本記事では、未払いが起きる構造、起きたときの基本的な対応、そして「起きる前」にできる備えを、公的データとともに整理します。

そもそも、なぜ利用料の未払いは起きるのか?

未払いの背景にあるのは、個々の入居者の事情というより、単身高齢者の急増という社会構造です。年金だけでは月額利用料が続かない、連絡先の家族がいざとなると支払いに応じない——こうしたケースは、これからさらに増えると見込まれています。

44.3%
2050年の単独世帯割合の推計(2020年は38.0%)[1]
約443→586万
認知症の人の推計(2022年→2050年)[2]
約28%
2020年時点の男性の生涯未婚率[1]

認知症が進むと、本人が支払い手続きを行えなくなり、口座があっても引き出せないといった事態も起こります。未払いは「事故」ではなく、こうした流れの中で生まれる構造的なリスクだと捉える必要があります。

未払いが起きたときの、基本的な対応

実際に未払いが生じたら、感情的な対応ではなく、契約と法律に沿って順に進めます。一般には次の流れが想定されます。

1

事実確認・連絡

入金状況を確認し、本人・身元保証人・家族へ連絡して支払いを求める。

2

原因の把握

一時的な遅れか、支払い能力そのものの問題かを見極める。

3

公的支援の検討

支払い困難なら、生活保護など公的支援への着地を相談する。

4

契約に沿った対応

改善が見込めない場合、契約に基づき専門家と対応を検討する。

注意

「鍵を替える」「荷物を運び出す」といった自力救済は法律で禁じられています。契約解除が正当でも、明け渡しは司法の手続きを経る必要があります。焦って動くと、施設側が責任を問われるリスクすらあります。

「起きてから」の回収は、なぜ難しいのか?

未払いが厄介なのは、回収に動いても、労力に見合った成果になりにくい点です。督促の手間、家族との交渉、場合によっては法的手続き——そこにかかる人件費と時間は、施設の本来業務を圧迫します。しかも、退去に至ったとしても、すでに発生した未収そのものは消えません。

そして、この未払いが施設経営に与える打撃は、決して小さくありません。東京商工リサーチの調査によれば、2024年の老人福祉・介護事業の倒産は過去最多の172件に達し、その原因の多くが「売上不振」でした。

倒産の原因が
「売上不振」
72.6%
介護事業
倒産件数(2024)
過去最多 172件
有料老人ホーム
倒産件数(2024)
過去最多 18件

出典:東京商工リサーチ「2024年『老人福祉・介護事業』倒産・休廃業解散調査」[3]

だからこそ、「起きる前」の備えが効く

ここまでを整理すると、未払い対応の本質は「どう回収するか」ではなく、「そもそも施設が損失を抱え込まない構造をどう作るか」にあることが見えてきます。カギは、人物評価だけに頼らず、入口で支払いの構造を確認しておくことと、万一のときに未収が施設の損失にならない仕組みを持っておくことです。

表:「起きてから回収」と「起きる前に備える」の比較
観点起きてから回収起きる前に備える
施設の手間督促・交渉・法的手続きで大きい入口の確認と仕組みで小さい
未収の負担発生分は施設に残りやすい施設の損失から切り離しやすい
現場への影響本来業務を圧迫するケアに集中しやすい

まとめ

利用料の未払いは、個人の問題ではなく構造から生まれるリスクです。起きてからの回収は手間もリスクも大きく、未収は残ります。入口での確認と、未収を施設の損失にしない仕組み——この2つが、これからの備えの軸になります。私たちLAST SOLUTIONSは、入居者様の月額利用料の保証を通じて、一室分の未収を施設の損失から切り離し、施設様が安心して受け入れられる体制づくりをお手伝いしています。

見落とさないために:未収の“予兆”を早期に察知する

未払いは、ある日突然起こるわけではありません。多くの場合、その手前に小さな予兆があります。口座残高不足による引き落とし不能が数か月おきに起きる、家族からの連絡が徐々に途絶える、本人の判断能力の低下がうかがえる——こうしたサインは、支払いが続かなくなる前触れであることが少なくありません。

大切なのは、これらの予兆を「その都度の事務処理」で流さず、支払いの構造が揺らぎ始めたシグナルとして拾うことです。早い段階で公的支援や保証の仕組みにつなげられれば、未収が大きく膨らむ前に手を打てます。回収は遅れるほど難しくなる——だからこそ、“予兆”の段階での対応が効きます。

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出典

  1. 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2024年推計)」ならびに生涯未婚率に関する統計
  2. 認知症の将来推計に関する政府(厚生労働省関連)推計
  3. 東京商工リサーチ「2024年『老人福祉・介護事業』倒産・休廃業解散調査」

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