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COLUMN / 施設経営

介護事業者の倒産が過去最多——数字で見る「何が起きているか」

執筆・監修

羽田 圭佑(株式会社LAST SOLUTIONS 代表取締役)
損害保険会社の損害サービス部門で事故対応と保険金の支払査定に従事したのち、保険代理店営業として引受時のリスク審査と契約設計に携わる。執筆者について

高齢者は増え続けているのに、介護事業者の倒産は過去最多——。この一見矛盾した事実が、いま業界で起きていることの本質を映しています。「需要があるから安泰」という前提は、もはや通用しません。

結論から言えば、倒産増加の背景には「売上不振・コスト増・人手不足」の三重苦があり、その入口を握るのが稼働率と未収です。本記事は、施設長・経営者に向けて、まず倒産の数字を正確に押さえ、なぜ需要があるのに倒産するのかを構造から解き、施設が打てる手を考えます。

172
2024年の老人福祉・介護事業の倒産(過去最多)[1]
+40.9%
前年からの倒産件数の増加率[1]
72.6%
倒産の原因が「売上不振」だった割合[1]

① 数字で見る:2024年の倒産

東京商工リサーチの調査によれば、2024年の老人福祉・介護事業の倒産は過去最多の172件、前年比40.9%増と大きく伸びました。有料老人ホームに限っても過去最多の18件に達しています[1]

介護事業
倒産件数(2024)
過去最多 172件(前年比+40.9%)
うち有料
老人ホーム
過去最多 18件
原因が
「売上不振」
72.6%

出典:東京商工リサーチ「2024年『老人福祉・介護事業』倒産・休廃業解散調査」[1]

② なぜ「需要があるのに倒産」なのか?

高齢者数は増えているのに倒産が増える——この矛盾を解く鍵は、「需要があること」と「その需要を売上に変えられること」は別だという点にあります。入居希望者がいても、支払いが続かなければ売上にはなりません。また、受け入れを絞りすぎれば稼働率が上がらず、やはり売上は伸びません。

倒産原因の72.6%を占める「売上不振」[1]の中身には、埋まらない空室と、回収できない未収が含まれています。需要は追い風でも、それを取りこぼす施設から倒れていく——これが「需要があるのに倒産」の正体です。

③ 倒産を招く「三重苦」の構造

2024年の倒産増加は、単一の原因ではなく、複数の圧力が重なった結果です。近年の調査では、次の三重苦が指摘されています[1]

表:介護事業者を圧迫する「三重苦」
要因内容
①売上不振稼働率の伸び悩み・未収による収入の目減り
②コスト増物価高・光熱費・人件費の上昇による支出増
③人手不足採用難・離職による運営体制の逼迫

②のコスト増と③の人手不足は、外部環境の要素が大きく、施設単独ではコントロールが難しい部分です。一方、①の売上不振は、受け入れ幅と未収対策しだいで施設が動かせる余地が大きい——ここが打ち手の焦点になります。

④ とくに効く「稼働率」と「未収」

三重苦のうち、施設が最も手を打ちやすいのが「売上不振」の中身、すなわち稼働率と未収です。固定費が大きい施設では、少しの稼働率の差が黒字と赤字を分けます(稼働率90%の壁を参照)。また、1室の長期滞納が全体の採算を崩すこともあります(居室単位の損益を参照)。

注意

未収を恐れて受け入れを絞ると、稼働率が下がって売上不振に近づく——という負のスパイラルに陥りがちです。倒産を避けるには、「受け入れを広げつつ、未収は施設の損失にしない」両立が要になります。

⑤ 倒産を避ける施設は何をしているか

厳しい環境でも安定している施設に共通するのは、「売上を作る力」と「損失を防ぐ仕組み」を両方持っていることです。具体的には、保証人の有無だけで判断せず支払いの構造で受け入れを広げ、万一の未収は外部の仕組みへ逃がす。この設計により、稼働率を積み上げながら、売上不振の芽を摘んでいます。

POINT

コスト増や人手不足は簡単には変えられません。だからこそ、施設が動かせる「稼働率」と「未収」を先に固めることが、倒産リスクを下げる現実的な一手です。守りを固めてこそ、外部環境の逆風にも耐えられます。

⑥ まとめ

介護事業者の倒産が過去最多となった背景には、売上不振・コスト増・人手不足の三重苦があります。需要は追い風でも、稼働率と未収を取りこぼす施設から倒れていきます。施設が動かせるのは、まず「売上不振」の中身——受け入れ幅と未収対策です。私たちLAST SOLUTIONSは、入居者様の月額利用料の保証を通じて、未収を施設の損失から切り離し、施設様が逆風の中でも受け入れと収益を両立できる体制づくりをお手伝いしています。

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出典

  1. 東京商工リサーチ「2024年『老人福祉・介護事業』倒産・休廃業解散調査」(倒産件数172件・前年比40.9%増・原因の72.6%が売上不振・有料老人ホーム18件 等)

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